こんにちは!京都・山科で創業75年の土肥板金工業です。
すっかり夏本番の暑さになり、工場の職人たちも汗を流しながら日々ものづくりに励んでいます!
さて、建材や店舗の什器、特注のインテリア金物などを手がけるとき、表面の仕上げひとつで空間全体の表情はがらりと変わります。
最近、設計者様やインテリアデザイナー様から「ヘアラインや鏡面以外の選択肢はないか」「高級感があって、傷が目立たない仕上げにしたい」というご相談をいただく際、私たちがおすすめするのが「ステンレスのバイブレーション仕上げ」です。
今日はそのバイブレーション仕上げの魅力やメリット、他の仕上げとの違い、そして実際の加工事例について分かりやすくお話しします。
1. ステンレスの「バイブレーション仕上げ」ってどんな加工?
ステンレスのバイブレーション仕上げとは、研磨機を上下左右、ランダム(無方向)に振動させながらステンレスの表面を削っていく加工技術です。
一方向に一直線状の線を付ける「ヘアライン(HL)仕上げ」と違って、細かな円を描くような研磨傷(ランダムスクラッチ)を無数に敷き詰めるのが一番の特徴です。
この無規則な研磨目が光をあらゆる方向にやわらかく分散(乱反射)させてくれるため、ステンレス特有のギラついた冷たさが消え、マットでどこか温かみのある重厚な質感に仕上がります。
図面や仕様書では「ランダムヘアライン(RHL)」や「ノンディレクショナル研磨」と表記されることもあります。
2. なぜ設計やデザインの現場で選ばれるのか?(3つのメリット)
現場で設計者様やデザイナー様にバイブレーション仕上げを提案すると、特に喜ばれるのが次の3つのポイントです。
① 傷や指紋が驚くほど目立ちにくい
ステンレス製品で誰もが頭を悩ませるのが、日常でつく「手の痕(指紋)」や「擦り傷」です。
バイブレーション仕上げは、最初から全体にランダムな傷を施しているため、後からついた小傷や手垢が表面になじんで、ほとんど目立ちません。不特定多数の人が触れる店舗のカウンターやドアハンドル、毎日の生活で使う道具にぴったりな理由がここにあります。
② どんな空間や異素材にも自然になじむ
光をギラギラと跳ね返さないので、照明の映り込みが気にならず、落ち着いた空間を作り出すことができます。
木や石、ガラスといった異素材との相性も抜群で、モダンな空間からヴィンテージ調のインテリアまで、主張しすぎず上品に引き立ててくれます。
③ 溶接や加工の痕(あと)を綺麗にごまかせる(なじませられる)
実は、私たち板金の現場人間として一番ありがたいのがこのメリットです。ステンレスを溶接したり曲げたりすると、どうしても熱による歪みや継ぎ目の痕が残ってしまいます。ヘアライン仕上げだとその痕が目立ちやすいのですが、バイブレーション仕上げなら研磨で加工痕を自然になじませ、まるで最初から一体だったかのような美しい仕上がりにできます。
3. 「バイブレーション仕上げ」と主要仕上げの比較
プロジェクトの用途や予算に合わせて最適な表面仕上げを選択できるよう、主な加工方法との違いを比較表にまとめました。
| 仕上げの種類 | 見た目の特徴 | 主な用途・適した空間 | バイブレーション仕上げとの違い |
| バイブレーション | 無方向のランダムな研磨目・マット感 | 高級店舗什器、カウンター、特注プロダクト | 比較基準 |
| ヘアライン (HL) | 一方向の細い直線目 | ビル建材、一般的な金物、キッチンパネル | 方向性があるため、ジョイント部や横傷が目立ちやすい |
| 鏡面 (No.8) | 鏡のように高い反射率を持つ光沢 | ホテルエントランス、装飾パネル | 傷や指紋が非常に目立ちやすく、維持管理の手間が大きい |
| 2B (標準素地) | やや光沢のある滑らかな標準素地 | 産業機械、見えない構造部材 | 意匠性は低く、加工傷やロール痕がそのまま残る |
4. 土肥板金工業での加工実績
土肥板金工業では、自社プロダクトから職人技が問われる特注の大型金物まで、さまざまなステンレス製品にバイブレーション仕上げを施しています。
■『Breadware Kyoto』のブレッドバスケット


自社ブランド「Breadware Kyoto」でつくっている、ステンレス板を折り曲げたパン用のバスケット。
全面にバイブレーション仕上げを施すことで、カトラリーが当たっても傷が目立ちにくく、食卓や焼きたてのパンの温かみにしっくり馴染む質感に仕上げています。
■ハニカム(亀甲)構造の大型フレーム(鉄)

また、ステンレスではありませんがパーツ同士の溶接箇所がとにかく多い、繊細なハニカム構造の鉄フレーム。
このような複雑な形状でも、熟練の職人が溶接の継ぎ目をひとつずつフラットに削り落とし、全体へ均一にバイブレーションをかけていきます。
継ぎ目を一切感じさせない一体感は、手仕事ならではのこだわりです。
まとめ:ステンレスの質感や納まりに迷ったら、土肥板金工業へ
ステンレスのバイブレーション仕上げは、「見た目の美しさ」と「現場で求められる扱いやすさ」をあわせ持った、本当に使い勝手の良い仕上げです。
「この複雑な形の金物でも綺麗にバイブレーションが入るかな?」「図面の段階から溶接の納まりについて相談したい」といったことがありましたら、ぜひ山科の土肥板金工業まで気軽にお声がけください。
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